職業「無職」

社畜から無職になったアラフォーの奮闘記

【まとめ】原因不明の難病「潰瘍性大腸炎」についてわかっていること

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指定難病「潰瘍性大腸炎」は、免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されていない。しかし、研究で断片的に判明してきている部分もある。

そこで今回は、無職の最大の武器「時間」を駆使して、ネット上で知り得た潰瘍性大腸炎に関する情報を要約して本記事へまとめて記載する事にした。

情報元のリンク先も掲載するので、興味のある情報は是非ご覧頂きたい。

海外の論文も見たいが、英語アレルギーなので日本語で書かれている情報に限定している。

生活や食習慣のヒントになって、少しでも症状が良くなればとても嬉しいです。

 

 

潰瘍性大腸炎ライブラリー

まずは基本の「難病情報センター」

潰瘍性大腸炎(指定難病97)

www.nanbyou.or.jp

 

 

全指定難病のトップに君臨する「潰瘍性大腸炎」患者数

わが国における潰瘍性大腸炎の患者数は、2016年度の全国疫学調査研究で22万人と推計され、数ある指定難病の中で最も多い。将来的に30万人超えが危惧されている。

潰瘍性大腸炎、治療の最適解を導くために必要なこと|医師向け医療ニュースはケアネット

 

患者数は世界第2位

日本の潰瘍性大腸炎の有病率はまだ欧米よりも低いが、患者数ではアメリカに次いで世界第2位になっている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/113/3/113_407/_pdf#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%BD%B0%E7%98%8D%E6%80%A7%E5%A4%A7%E8%85%B8,%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%EF%BC%8E

 

腸炎の重症化を防ぐメカニズムを解明

  • 細胞外のATPがP2X4受容体を介して好中球の長期生存を誘導し、大腸炎を重症化させることを明らかにした。
  • 腸管上皮細胞に発現するタンパク分子E-NTPD8が腸内細菌から分泌されるATPを分解し、大腸炎の重症化を防ぐことを明らかにした。
  • 「細胞外ATP-P2X4受容体シグナルの制御」や「人為的E-NTPD8の発現制御」がヒトの潰瘍性大腸炎*3の治療につながることが期待される。

潰瘍性大腸炎患者の大腸上皮細胞では、好中球による腸炎の重症化を防ぐために必須であるE-NTPD8の発現が低下していることが明らかになった。潰瘍性大腸炎では、大腸における好中球の増加が病態に深く関与することが報告されており、E-NTPD8や細胞外ATP-P2X4受容体シグナル経路が潰瘍性大腸炎創薬標的となることが期待される。(2021.9.21)

香山 尚子、竹田 潔 ≪免疫制御学≫ 大腸炎の重症化を防ぐメカニズムを解明~E-NTPD8は、好中球の長期生存に必要なATPを分解する~ | 大阪大学医学系研究科・医学部

 

粘膜の死細胞が腸炎アトピー性皮膚炎、喘息の発症を促進する

粘膜の死細胞が免疫細胞を直接刺激して、腸炎アトピー性皮膚炎、喘息の発症を促進することを世界で初めて発見した。粘膜組織では多数の細胞が死んでおり、これらは単に便、垢、痰などに排泄されるだけというこれまでの固定観念を覆す発見となる。
新しい発想の革新的な炎症性腸疾患、アレルギー治療法の開発が期待される。

本研究では、皮膚、腸管、気管などの常在細菌が、粘膜組織の樹状細胞を刺激して、炎症を抑制する制御性T細胞という細胞の数を増加させること、およびそのメカニズムを発見した。一方、常に死に絶えていく粘膜の上皮細胞は、樹状細胞の細胞膜上に発現するCD300aというタンパク分子を介して樹状細胞の活性化を抑制して制御性T細胞の数を減少させ、腸管、皮膚、気管などで腸炎アトピー性皮膚炎、喘息の発症を促進させることを発見した。これらの結果から、CD300aの働きを抑制する薬剤を開発することで、これらの難治疾患の革新的な治療につなげることが期待できる。(2016.2.8)

粘膜の死細胞が腸炎、アトピー性皮膚炎、喘息の発症を促進する | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

 

腸内細菌が作る酪酸が制御性T細胞への分化誘導のカギ

  • 食物繊維が多い食事を摂ると酪酸が増加
  • 酪酸が制御性T細胞への分化誘導に重要なFoxp3 遺伝子の発現を高める
  • 酪酸により分化誘導された制御性T細胞が大腸炎を抑制

腸内細菌が作る「酪酸」が体内に取り込まれて免疫系に作用し、「制御性T細胞」という炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがあることが明らかになった。炎症性腸疾患の患者の腸内フローラには異常が認められるが、特に酪酸を作る細菌の割合の低下が顕著である。また、酪酸の生体内への取り込みが障害されることも報告されている。IBD患者の腸内でも、酪酸を作る腸内細菌が少ないことが知られている。今回の発見は、腸内細菌が作る酪酸には炎症性腸疾患の発症を防ぐ役割があることを示しており、病態の解明や新たな治療法の開発に役立つと期待できる。(2013.11.14)

共同発表:腸内細菌が作る酪酸が制御性T細胞への分化誘導のカギ~炎症性腸疾患の病態解明や新たな治療法の開発に期待~

 

食習慣は腸内細菌叢を介して消化管炎症に関与 植物性蛋白質摂取で腸内環境が改善

食生活と腸内細菌叢の関連を調べたところ、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群IBS)の患者と健常人に共通する因子が複数特定され、腸内細菌叢を標的とした食事戦略をとることで消化管の炎症を軽減・予防できる可能性が示された。

食習慣は腸内細菌叢を介して消化管炎症に関与:日経メディカル

 

短鎖脂肪酸は免疫と疾患の関係を解くカギとなるか

日本では1970年代から急に腸の病気が増加してきた。この理由には食生活の変化、特に冷蔵庫の普及に伴う発酵食品摂取の低下により腸内細菌の変化が一因と考えている。しかしヒトの腸内細菌はマクロの視点では安定しており、その治療にプロバイオティクスを投与しても腸内で生息するのは困難と言われている。

潰瘍性大腸炎クローン病など炎症性腸疾患には、今のところ糞便移植の効果がデータ上はあまり見られない。

スーパードナーといわれる人の便を数人の患者に提供したら効いたという話がある。スーパードナーのある特定の腸内細菌が寄与したのか、腸内細菌叢の構成が安定していて患者さんにマッチしたのかまだわからないが、腸内細菌叢を変えることで炎症性腸疾患が大幅に改善するケースがあるのは事実。

大腸の免疫は免疫応答を制御する「制御性T細胞(Treg)」と免疫応答を活性化させる「Th17細胞」のどちらに分化にするかで免疫のトーンが制御されているが、大腸で作られる短鎖脂肪酸は、そのバランスの決定に関係している。短鎖脂肪酸は免疫と疾患の関係を解くカギと言えるかもしれない。(2020.6.30)

消化器の専門医が「腸の奥からの健康」を語る | 腸の奥からの健康を考える研究会

※プロバイオティクス・・・腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に有益に働く生きた微生物。

 

酪酸」産生菌の数が少ないIBD患者

腸は全身の免疫細胞のおよそ60%が集中し、腸の免疫バランスの崩れ(特に過剰な免疫反応)が全身に影響すると言われている。酪酸には過剰な免疫反応を抑えるTreg細胞という免疫細胞を増やす効果があり、これには酪酸が大腸上皮細胞のヒストンのアセチル化を促進する働きが関与していることが分かっている。腸の免疫疾患である炎症性腸疾患の患者では、腸内細菌中の酪酸産生菌の数が減っているケースが多いとされる。

短鎖脂肪酸 - Wikipedia

 

酪酸などの「短鎖脂肪酸」について

脂肪酸とは、油脂(アブラ)を構成する成分のひとつで、数個から数十個の炭素が鎖のようにつながった構造をしている。つながった炭素の数によって、長鎖/中鎖/短鎖脂肪酸と呼ばれ、炭素の数が6個以下のものが短鎖脂肪酸だ。代表的な短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸など。

腸内細菌によって分解されやすいペクチン、イヌリンなどの食物繊維は、大腸で腸内細菌が分解してくれる。分解して単糖に変えた、食物繊維由来の糖は、腸内細菌が自分のエサとして利用するが、その結果、最終の代謝産物としてでき上がるのが短鎖脂肪酸である。

実はこの短鎖脂肪酸をリガンド(受容体に結合する物質)とするような受容体、GPR41とGPR43が、われわれ生体、宿主側に存在することがわかった。

単なる腸内細菌の代謝物である短鎖脂肪酸が、宿主(ヒト)のエネルギー源として作用するだけではなくて、受容体を介してわれわれの生理機能にまで密接に影響を与えるのではないかと考えられるのだ。現在、世界で腸内細菌と短鎖脂肪酸、そして受容体が関係するような多数の報告がなされている。(2021.5.24)

【食と健康 ホントの話】解明が進む腸内細菌の代謝物「短鎖脂肪酸」の役割 免疫機能や悪性腫瘍に関連 (3/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

 

潰瘍性大腸炎では食事療法の再燃予防効果は定かではない

潰瘍性大腸炎では食事療法の意義は少ないと考えられている。患者によっては寛解期にあっても自主的に食事制限を行い、乳製品を回避する傾向がみられているが、その再燃予防効果は定かではない。

活動期では、脂質の多いもの、食物繊維の多いもの、刺激物などは控えた方が安全だと思うが、寛解期では短鎖脂肪酸が産生されることを期待して、食物繊維の摂取が推奨されている。

炎症は治まっているが、腹痛や腹部膨満感、下痢や便秘などの困った症状が続いている方には低FODMAP食の導入をお勧めする場合もある。FODMAPとは、小腸では吸収されにくい発酵性糖質のことで、これらの頭文字を取ったもの。

栄養について - 【東京医科歯科大学 消化器内科】炎症性腸疾患・ウイルス性肝炎・肝癌・小腸内視鏡

 

炎症性腸疾患の患者は寿命が依然として短い

炎症性腸疾患(IBD)の患者は、以前よりは長生きするようになったものの、IBDではない人に比べると、寿命が依然として短いとする研究結果が報告された。

IBD患者では、腸管以外の部位に炎症が生じることもあり、また、がん、心疾患、関節炎など他の疾患リスクも高いという。

1996年と2011年を比べると、IBD患者の平均寿命は、女性で2.9年(75.5歳から78.4歳)、男性で3.2年(72.2歳から75.5歳)延びていた。しかし、IBD患者の平均寿命はIBDではない人(対照群)に比べて、いずれの年でも常に短く、両群間での平均寿命の差は、女性で6.6~8.1年、男性で5.0~6.1年であった。一方、健康度調整平均寿命(HALE)に関しても、IBD患者は対照群に比べていずれの年でも常に短く、その差は、女性では9.5~13.5年、男性では2.6~6.7年であった。(2020.12.2)

炎症性腸疾患の患者は寿命が依然として短い|医師向け医療ニュースはケアネット

 

潰瘍性大腸炎患者の90%が持つ自己抗体を発見

UC患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた。これは、高い感度と特異性を備えた潜在的な診断バイオマーカーとして役立つ可能性がある。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。(2021.3.9)

潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見/京大|医師向け医療ニュースはケアネット

 

あとがき

日本が患者数世界第2位というのは非常に驚いた。食事が欧米化しているとは言え、それだけでこの成績を得られるだろうか‥。世界比較のデータが見たかったが、日本語のものでは見当たらなかったのが残念。

 

今後、新しい情報が見つかったら随時更新していきたいと思っている。

色々な研究成果を見ているとワクワクして一日潰れてしまう。これも無職のなせる業だ。

 

記事を見ていると、「短鎖脂肪酸」「腸内細菌叢」というキーワードが度々出てくる。

実は潰瘍性大腸炎を発症するかなり前から腸内細菌叢を育てようと、乳酸菌・ビフィズス菌オリゴ糖・食物繊維(デキストリン)など長期に渡って試してきた。しかし思うような成果は出ておらず、体質改善どころか潰瘍性大腸炎を発症してしまったのだから大失敗だ。

プロバイオティクスは摂取してもあまり意味が無いという記載もチラホラあったが、もしかしたら本当なのかもしれない。菌の種類にもよるのだと思うが。

 

自分は潰瘍性大腸炎患者としては軽傷の部類であるけれど、それでも症状が発生している時は非常に辛く、寛解期と比べると廃人のようになりQOLがだだ下がる。

今のところ、1年に1回発症しており、一度発症すると治まるのに3ヶ月は要している。つまるところ、1年間のうち9ヶ月しかまともな生活が出来ていない。

簡単ではないが、何としても寛解期が維持出来る方法を探っていきたい。

とりあえず、研究者でもない自分はネットで情報収集する日々が続く・・・。

 

最後に、研究されている方には心から感謝いたします。

 

 

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